株式会社 龍の瞳の方針と認証取得の目的
株式会社龍の瞳は、以下の方針のもとグローバルGAP取得を目指してきました。
契約農家が栽培している龍の瞳が、きちんとした栽培管理のもとに生産できているかの担保を取る。
それまで弊社では、龍の瞳栽培マニュアルと栽培暦を作成して、それをもとに龍の瞳の生産田んぼで指導をしてきました。使用法をきちんと守って農薬が使用されているのか、自然に対する配慮がされているかの、栽培履歴を提出てもらうことで契約農家との信頼関係の上に成り立っていました。また、労働の安全性、籾摺りの状況などについては現場に行くこともなく、きちんとした把握ができていませんでした。
グローバルGAPを取得することで、これらの担保を取ることができ、消費者の方にさらに安心して龍の瞳をご提供できると考えました。
日本の安全で美味しい龍の瞳を海外の方にも食べてもらいたい。
2013年10月、「和食」が、ユネスコ無形文化遺産に登録されました。いまや、世界が和食に注目する時代を迎えています。和食の中心は、何と言ってもお米です。もっと世界の方に龍の瞳を食べていただきたい、との想いが強くなりました。輸出には、「働く人の安全」、「生産物の安全」、「環境への配慮」など世界が認めた国際認証を取得する方が有利に働きます。
また、世界の人がたくさん来日される東京オリンピックの食材に、グローバルGAP水準の食品が求められることを知り、何としても取得したいとの想いを強くしました。
グローバルGAPを取得するには
株式会社龍の瞳の認定
グローバルGAPは、指導機関としての株式会社龍の瞳と、生産者との両方の取得が必要です。株式会社龍の瞳は、生産者を指導できる能力があるかが問われます。文書管理規定、農場管理マニュアル、栽培マニュアル、水質基準、土地の汚染地図などを整備しなければなりません。
生産者の認定
生産者は、労働安全の担保、生産工程の記帳と農薬・肥料管理、農機具整備、環境への配慮、各種資材などのリスク評価などについて、200項目を超える検査を受けなければなりません。
内部監査・検査
本監査・検査を受けるまでに内部監査機関が指導して、認定できる水準までに整備することになっています。
弊社は内部監査・検査機関と一体になり、生産者を指導し認定ができるように持って行きます。
監査・検査
収穫が終わった時点で、監査・検査を受けます。監査は株式会社龍の瞳が監査、農家が検査を受け入れます。
監査には約10時間、検査には1生産者で約7時間程度かかりました。該当生産者合計を√で開いた数が検査数です。
中間監査・検査
その後、6カ月以内に中間監査・検査を受けます。自動更新ではなく、毎年監査・検査を受けなければなりません。
費用
費用はとても掛かり、このことは取得が困難な一つの理由になっています。
今後は、株式会社龍の瞳として内部検査機関を取得し費用の低減を図ることにしています。
グローバルG.A.P.とは
グローバルG.A.P.は、ヨーロッパから始まりました。デパートやスーパーが食の安全性を確認するために、生産者にどのように作られた作物なのかを証明させたことが始まりで、日本語で言うと「世界的な良い農業の規範」です。農業生産工程管理をしっかりとしなければなりません。
グローバルG.A.P.は、オリンピックロンドン大会から農産物供給に必須とされました。東京オリンピックでも、グローバルG.A.P.水準の農産物供給が望ましいということになっています。
日本では、合計400件(軒)の農家、企業が参加しています。大きな生産組織では、北海道で1ヶ所で農家60軒が参加しています。
岐阜県では、株式会社龍の瞳が1番目の取得となりました。
また、認証を取得した証としてのステッカーなどは貼付けできません。これはヨーロッパでは当たり前の流通となっていることや、スーパーなどからの要請で始まった制度であるために、いわばお店が知っていればそれで良いという仕組みになっています。生産する側からするとメリットの少ない制度ですが、生産の安全性を担保するにはとても良い方法だという判断で挑戦してきました。
写真で見るグローバルGAP
☆この研修会には組合員が65人ほど参加したことから取得に向け弾みに。
手上げ方式・許可制で当初12名程度を目指したが、最終的に6名になった。
E 認定会社監査・検査
F 修正報告
2014年は残念ながら認定成らず
初回のみ3か月の猶予が与えられる。2回目からは1か月以内。
今回取得できなかった原因として
- A 修正報告を出した時点以降、「取得できる」という安心感。
- B 1月に認定会社あるティフズードジャパンから問い合わせが来たが、弊社の担当者は内部監査機関が対応しているものと勘違いして、提出しなかった。私にも報告がなく、なぜ認定が来ないのだろうと待っていた。時間切れ。
- C ティフズードジャパンの担当者と内部監査機関、弊社との齟齬。
- D 70%程度完成していればOKという認識の甘さ。実はかなり完成度が高くないとダメ。
- E 生産者さんは高齢者が多く、理解度が不足している傾向があるが、適切に指導ができなかった。
なお、農林水産省からの補助金(初回のみ)があるので利用されると良い。
取り組んで良かった点
- 生産者さんの安全意識の向上(フォークリフトにナンバー付けるなど)
- 私自身の危険予知への対応能力の向上
- 生産者さんと弊社の作業場が整理されて、綺麗になった
- 生産者さんへの支払金額のアップ
- 生産意欲の高まり(優越感)、知識欲の向上
- 注目度のアップ(すごいことをしているという実需者の声)
- 商品の差別化 ⇒ 今後の課題